せみ太郎でございます。
配当金、分配金などのインカムゲインを目的として、また時にはキャピタルゲインも狙いつつ高配当株ETFへの投資を考えている方も多いと思います。
私自身、現時点でVYM、SPYDと、二つの米国の高配当株ETFへ投資をしています。
米国高配当株ETFには、他にもHDVなどとても優良な高配当ETFが存在しますね。
ただ、私は日本の高配当株ETFへの投資は現状全く考えていません。
なぜなら、日本の高配当株ETFに「買いたい!」と思える銘柄がないからです。
今回は国内高配当株ETFがあまりオススメできない理由を中心に、米国高配当株ETFとの比較をして、よりよい高配当株ETFへの投資を考えていきたいと思います。
日本の高配当株ETFがオススメできない理由
そもそも、国内高配当株ETFに投資をしているという話は、SNSやブログなどを見てもあまり見ませんし、周りの話題にも上がらない印象です。
逆に、VYMやSPYD、HDVなどの米国高配当株ETFは、よく話題にもなりますし投資をしている人も実際多くいます。
これはつまり、米国高配当株ETFに投資をしたほうがメリットがあるということに他なりません。
結論から言ってしまうと、日本の高配当株ETFがオススメできない理由は、
・配当利回りだけ高く長期投資に向かない銘柄が含まれている。
・信託報酬が高い。
以上の3点が、オススメできない大きなウェートを占めています。
さて、国内株式の高配当株ETFにも様々な銘柄がありますが、今回はその中でも最も利回りの高いことで有名である、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)を例に挙げてみます。
上記のポイントを踏まえつつ、それぞれ見ていきましょう。
分散が景気敏感な業種に偏っている
今回例に挙げる、日経平均高配当株50(1489)は、日経平均株価を構成する225銘柄のうち、特定の条件を満たした配当利回りの高い50銘柄に投資するETFです。
つまり、このETFに投資すれば、日本を代表する高配当企業50社に分散投資することが可能になります。
構成銘柄のうち、業種の上位5位を見てみると、
1 | 卸売業 | 約15% |
2 | 銀行業 | 約15% |
3 | 輸送用機器 | 約10% |
4 | 化学 | 約7% |
5 | 情報・通信業 | 約7% |
上位を占める業種が、すべて景気敏感な業種となっています。
1位の卸売業(総合商社)、2位の銀行業、3位の輸送用機器(自動車)これらは全て景気敏感業種です。
この上位三つの業種だけで、構成業種の約半分を占めています。
電気、ガス、通信、食品、医薬、鉄道といった、景気に左右されにくい業種の割合が少ないと言えます。
つまり、日経平均高配当株50は、景気による影響を受けやすいETFであると言えます。
景気が悪くなれば、減配する可能性のある銘柄がそれだけ多く含まれているということでもあります。
高配当株投資は、長期的に考えて安定した配当金、分配金を得ることが一番重要だと考えています。
したがって景気敏感株の投資比率が高いというのは、長期ベースでの高配当株ETFへの投資には向いていないと言えます。
米国高配当株ETFの場合はどうか
HDVを例に挙げてみましょう。
HDVの構成銘柄の業種の上位3位は、
1 | ヘルスケア | 約22% |
2 | エネルギー | 約20% |
3 | 通信 | 約16% |
となっており、ディフェンシブ銘柄により多く分散投資していることが分かります。
VYMのように400社に分散投資している銘柄と比較すると分散に偏りがあることは否めませんが、日経平均高配当株50に投資するのであれば、私ならより景気に左右されにくい業種の割合が多いHDVに投資します。
配当利回りだけ高く長期投資に向かない銘柄が含まれている
日経平均高配当株50(1489)の利回りを見てみると、4.42%となっています。
利回りとしてはなかなか魅力的な数字と言えるでしょう。
ただ、配当利回りが高い銘柄であればどんな銘柄に投資しても良いということには当然なりません。
日経平均高配当株50には、赤字続きの銘柄などのハイリスクな高配当株は除外される運用ルールが定められていますが、組み入れ銘柄に日本郵政が入っていることが気になります。
かんぽ生命による不適切な保険販売で、日本郵政グループ全体の不健全な企業体質が明るみになったことはご存知の通りです。
このようなコーポレートガバナンス(企業統治)に大きな問題がある企業が組み入れられているのは疑問です。
不正問題で企業価値を大きく損なっている会社に投資をするのはかなりリスクがあります。
他にも、配当利回りは高いが、今後の株価上昇がかなり厳しそうな銘柄がいくつか含まれている印象ですね。
長期投資にはちょっと…という懸念を持ってしまう構成だなという印象が強いです。
米国高配当株ETFの場合はどうか
高配当株ETFは、高配当株に重点をおいて構成されている銘柄ですから、組み入れられている全ての銘柄が完璧な銘柄であるということは難しいかと思います。
どんな高配当株ETFにでも、メリットがあればデメリットもあります。
そして投資に100%はない訳ですから、いかにデメリットよりメリットの割合が高いものを選べるかです。
日本の高配当株ETFを見ていると、この点でも米国高配当株ETFに勝っている点は正直私には見当たりません。
私なら、やはり国内高配当株ETFに投資するなら米国高配当株ETFに投資します。
信託報酬(経費率)が高い
長期投資にあたって重要になるのが、信託報酬(経費率)です。
信託報酬というのは、ファンド運営のための経費のことであり、その銘柄を保有しているだけで掛かってくるコストです。
高配当株ETFのような配当金(分配金)を狙っていくETFであれば、基本的には長期投資を前提に考えるべきであり、信託報酬は低いに越したことはありません。
日経平均高配当株50(1489)の信託報酬は、約0.3%です。
正直高いです。
たかが0.3%と思われるかもしれませんが、この数字は非常に大きいものです。
例えば10年間このETFに投資するとなると、約3%の信託報酬となります。
これは日経平均高配当株50の、約1年分の配当に相当する金額となってしまいます。
正直もったいないレベルを超えています。
他の国内高配当株ETFを見ても、軒並み同じような高い信託報酬となっていて、正直これだけで投資を迷うレベルです。
米国高配当株ETFの場合はどうか
代表的な米国高配当株ETFであるVYM、SPYD、HDVの信託報酬は、下記となっています。
- VYM:0.06%
- SPYD:0.07%
- HDV:0.08%
桁が違いますね。
見ての通り、信託報酬に関しても、米国高配当株ETFの圧勝です。
まとめ 高配当株ETFに投資するなら、国内ETFではなく米国ETF
米国の高配当株ETFとの比較をしながら、日本の高配当株ETFについて見てきました。
上記で見てきた通り、国内高配当株ETFと米国高配当株ETFどちらに投資するかと問われれば、間違いなく米国高配当株ETFを選びますね。
現状、国内高配当株ETFに投資する旨味は全く感じません。
まとめると下記の通りです。
・配当利回りだけ高く長期投資に向かない銘柄が含まれている。
・信託報酬が高い。
もちろん、日本にも優良な高配当株は存在します。
したがって、日本の高配当株に投資をするなら、ETFではなく、個別株に投資して、自分なりのポートフォリオを組むことをオススメします。
以上、私が日本の高配当株ETFを買わない理由でした。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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