せみ太郎でございます。
米国高配当株ETFといえば、VYM、SPYD、HDVの三つが特に人気になっていますね。
これらは、米国株の中でも特に高配当である銘柄に、分散投資を行うETF(上場投資信託)です。
特に上記の三つの銘柄は、米国高配当3兄弟とも呼ばれとても人気があります。
今回はその中でもHDVに焦点を当てて、そのメリットやデメリットまで幅広く見ていきます。
HDVとは?
HDVは、正式名称をiシェアーズ・コア 高配当株ETFといい、上記であげたVYMやSPYDと同じく米国ETFの銘柄の一つであり、米国株の中でもとりわけ高配当である銘柄に分散投資を行っているETF(上場投資信託)の銘柄の一つです。
HDVの設定年は2011年となっており、VYMの2006年、SPYDの2015年の真ん中に属します。
純資産総額は約6,000億円となっており、これもVYMの約3兆円、SPYDの約2,500億円のちょうど真ん中の値となります。
純資産がVYMと比べると少なく感じますが、設定年が2011年であることを踏まえると全く問題ありません。
売買する上での流動性も十分と言えるでしょう。
また、HDVの運用会社は米国のブラックロックであり、世界の資産運用会社の第2位という超優良ブランドが運用しています。
この辺りも安心して投資できるポイントの一つになりますね。
後ほども詳しく触れますが、HDVのポートフォリオをセクター別に見てみると、エネルギー、通信、ヘルスケアの割合が大きく、ディフェンシブ銘柄が多くを占めていることが分かります。
HDVに投資するメリット
人気ETFであるHDVですが、メリット、デメリットがそれぞれ存在します。
早速、メリット、良い点から見ていきます。
HDVのメリット①コストが安い
HDVのような高配当株ETFで配当金(分配金)をメインに狙っていく銘柄であれば、基本的には長期投資を前提に考えることが多いです。
その時に重要になるのが、信託報酬(経費率)です。
長期で運用するからには経費率は安いに越したことはありませんね。
HDVの経費率は、0.08%と非常に安い設定となっています。
ちなみにVYMは0.06%、SPYDは0.07%となっています。
三つとも非常に優秀な銘柄で、いずれも経費率は低く設定されていますね。
長期投資をするにあたっては、経費率の安さは大きなメリットになると言えます。
HDVのメリット②配当利回りが高い
先述のように、配当金(分配金)に比重を置き長期投資を前提とするならば、配当利回り(分配金利回り)の高さも重要になってきます。
HDVの直近配当利回りは、4.20%と非常に高い水準です。
これまでVYMが3%台、SPYDが5%台で大体推移していますので、HDVも高い利回りを出していることが分かります。
2011年の設定来からの利回りの推移を見てみると、2016年のチャイナショック時に減配している以外は、全体としては増配傾向にある事が見て取れます。
なお、HDVは3月、6月、9月、12月の四半期毎に分配金があります。
今回のコロナショックでは、株価は大きく値を下げましたが、2020年6月の分配金は引き続き増配となりました。
これでHDVは3年半連続で増配している事になりますね。
次回の9月の動向には注視したいところではありますが、高い利回りは、長期保有をするにあたってもメリットになることは間違いありません。
HDVのメリット③75の高配当銘柄に分散投資ができる
HDVは、米国市場の97%をカバーするモーニングスター米国株式指数の中から、財務健全性が高く、持続的に平均以上の分配金を支払うことができると思われる企業の中で、利回り上位75社を選定し構成されています。
先述の通りセクター別に見てみると、エネルギー、通信、ヘルスケアの割合が大きくなっています。
ただし、四半期ごとにリバランスを行っており、条件から外れる銘柄を組み替えたり、財務健全性の高い企業を厳選しなおしています。
現に、コロナショックと同時に起こった原油価格の値下がりなどで、それまでエネルギー関連企業の割合がトップでしたが、現在ではヘルスケアの割合がトップになっています。
HDVの構成上位銘柄は個別銘柄としても優秀なものばかりです。
これを、個人で一つずつ投資するとなると、米国企業の英語の決算書を読んだり、ただでさえ情報を得ることが難しい米国企業の情報を入手して企業の将来性や配当の持続性などをチェックしつつ、必要に応じて自分の手でポートフォリオを組み替える作業が必要です。
もしこれを自分一人の手でやるとすれば、その労力はとてつもない作業量になるでしょう。
その点、HDV一つに投資すれば、その作業を自動で全ておこなってくれ、75の米国の優良高配当銘柄に分散投資することができます。
HDVに投資するデメリット
良い点がたくさんあるHDVでも、デメリットもまた存在します。
早速見ていきます。
HDVのデメリット①分散投資の偏り
一つあげられるのは、分散が偏っている点です。
75社に分散投資しているといっても、75社全て均等に分散している訳ではありません。
先述のセクター別に見てみると、
- ヘルスケア:22.02%
- エネルギー:20.00%
- 通信:16.03%
となっており、上位3セクターで約60%を占めています。
これはHDVのディフェンシブ銘柄に分散投資している特徴の一つでありますが、VYMのように400社に分散投資している銘柄などと比べると、偏りがあることは否めません。
だからこそ、VYMより高い利回りを達成しているということも言えます。
したがって、上位銘柄の変動を大きく受けるリスクを持っているということを念頭に置く必要もあるでしょう。
しかし、先般のコロナショック時の原油安で、エネルギーセクターの多いHDVは確かに大きく下落しましたが、よく比較されるSPYDのほうがより大きく値下がりするという結果になりました。
これは、財務健全な銘柄を集めたHDVのディフェンシブ銘柄の強さが証明されたとも言えるでしょう。
HDV投資のまとめ
ここまで、米国高配当ETFであるHDVについて見てきました。
以上をまとめてみます。
・財務健全性に優れた75の高配当銘柄に分散投資ができる。
・ヘルスケア、エネルギー、通信、生活必需品といったディフェンシブセクターの割合が多く、下落相場に耐性がある。
・コスト面も問題なし。
・構成セクター、配分に偏りがある。
大きなポイントとしては、上記があげられるでしょう。
ウォートンの魔術師とも呼ばれる、金融の専門家であるジェレミー・シーゲル教授も、著書の中で生活必需品、ヘルスケア、エネルギーは長期保有することでS&P500を上回る成績を残すことができると紹介しています。
構成セクター、配分に偏りがあるとはいえ、結論、個人的には長期保有をするのにとてもおすすめできるETFだと考えます。
また、HDVで薄いセクターを補うことのできる、SPYDと合わせて投資することも、一つの方法です。
上位セクターがあまり被っていない他の高配当ETFと合わせて分散投資することも有効な戦略の一つと考えます。
以上、HDVの考察でした。
下記の記事で、VYM、SPYDの紹介もしていますので、参考にしていただければと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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